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令和6年度広島県公立高校入試国語:大問3解説

広島国語屋本舗 現古館、館長の小林です。

 

それでは、令和6年度広島県公立高校入試国語大問3の解説をしていきましょう。

大問3解説

しっかりと古典の対策をしてきた受験生にとっては、肩透かしな出題だったのではないでしょうか。

 

現代仮名遣い、返り点という知識問題が同居しており、主体判定の問題も指示語で一撃でした。

 

わく 見(レ点)之

 

子路、溺者を拯(すく)ふ。其の人之を拝する(謝礼する)に~

 

お礼をするのは助けられた人ですから、エ:溺者

 

問4にしても、八十字という指定字数は字数が多く設定されているというだけでしたね。

 

受験生の皆さんは、要点が書けていれば字数が足りなくても解答として許容される、と思っていて良いと思います。

 

それ(人々の手本となるべき賜の取った行動が、後々に与える影響)を踏まえると、孔子は、( Ⅰ )から、「魯人、人を贖はざらん」と考えて~

 

指示語「それ」を見つけて、直前の内容を捉えます。

 

賜はどのような行動を取ったのか、リード文にある通りです。

 

「魯の国の人を金を払って救出したが、国から金を受け取らなかった」んですね。

 

では、それを見た人々は、なぜ「人を贖はざらん」となるのでしょうか。

 

自腹が嫌だからですよね。

 

賜は立派な人物なので、人を救うの身銭を切ってもなんとも思わないかもしれません。

 

けれども私のような小市民にとって、賜の行動は「本来国が出してくれるはずのお金を遠慮しなくてはならない」「それを受け取るのは道徳的によくないことだ」というメッセージに映ってしまうわけです。

 

自分の懐を痛めてまで人を救おうする人って多くないよ、という、なかなか尖ったメッセージを伝えているのですね。

 

そう考えると空欄Ⅰに入れるべき内容は、「①人々が賜の行動を手本とした場合、②本来国から返ってくるはずの金を辞退せねばならず、③人を救う金を自己負担することになる」といったものになるでしょう。

 

精一杯書いて六十字です。

 

①と③だけあれば十分問いに対する説明になりますから、それが書けていればよいのではないでしょうか。

 

 

細かな変化はいくらかありましたが、全体的に解答根拠のはっきりした出題が多かったように思います。

 

難易度はやや易化、平均点は昨年並み~多少高くなると予想します。

 

ともあれ、受験生の皆さんはお疲れさまでした。

 

人事を尽くしたあとは天命を待つだけですね。

 

あとは高校での学習につながる土台を、高校入学までの間に固めていきましょう。