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令和6年度広島県公立高校入試国語:大問1解説

広島国語屋本舗 現古館、館長の小林です。

 

令和6年度広島県公立高校入試、お疲れさまでした。

 

明日、明後日と自己表現が控えているわけですが、一つの山場はこえたわけです。

 

リラックスして自分のやってきたことをアピールしてきてくださいね。

 

本記事では、令和6年度広島県公立高校入試国語の解説を行います。

 

高校の国語学習につなげるためにも、ぜひ復習に使ってみてください。

 

それでは、始めます。

大問1:文学的文章

辻村深月「この夏の星を見る」からの出題です。

 

現古館の塾生は、麻布中の入試問題で同一作者の「家族シアター」に取り組んだことがありますね。

 

うみか、宇宙飛行士になっちゃったよ。

 

私は問題を解きながらガッツポーズしちゃいました。

 

さて、漢字の問題が大問1に集約される形になっていましたが、そのような形式の問題はどうでもいいですね。

 

問1の難易度は例年並みではないでしょうか。

 

ア:層

イ:静

ウ:とうだん

エ:あこが

オ:とうじょう

 

 

問2・問4は選択肢が与えられた適語補充問題です。

 

「本物の宇宙飛行士に会える、という a もあったろうけど、」とありますが、「という」の前後がイコールの関係になることが分かれば、イ:高揚感(テンションアゲアゲ)しか入らないことが分かります。

 

「深野と広瀬、二人が b 叫ぶ」についても、自分たちの顧問である綿引先生が宇宙飛行士の花井さんに「先生」と呼ばれていることに対して驚いている文脈ですから、ウ:目をまん丸にして(びっくらぽん)が適当です。

 

ア:そっと目をそらして(不都合なものを見ないようにする動作)

イ:ぎゅっと口を結んで(黙る動作、どうやって叫ぶんだろうか)

エ:口をつんととがらせて(すねていることを示す動作)

 

誤答肢の語も確認するクセを今後のためにもつけておきましょうね。

 

問3は傍線部の解説文に適語を補充する問題。

 

「表情に明るい光が差した」直後に「あ、先生」と花井さんは発言しています。

 

つまり、綿引先生を見つけたことで表情が明るくなったのですね。

 

「質疑応答の際に質問してきた綿引先生が、以前からの( Ⅰ )だったから。」

 

ここに入る内容は「知り合い」とか「顔見知り」とか、そういう言葉になるはずですよね。

 

このように、想定解を作ったうえで書き抜く語を探しましょう。

 

「顔なじみ」がいずれ見つかります。

 

問5は理由説明の問題ですが、解答根拠ははっきりしていますね。

 

「亜紗はそういう感じの質問がとても嫌いだ。」とありますが、「そういう質問」とはどういう質問でしょうか。

 

綿引先生の「生徒に何かメッセージを」という質問を指しているのは明らかですね。

 

では、なぜ「嫌い」なのでしょうか。

 

傍線2の直後で、亜紗はこのように言っています。

 

「大人がとりあえずする質問だ、という気がする。」

 

「実のところ、そういう質問の答えを求めているのは「大人」の都合で、花井さんのことも、当の子どものこともちゃんと考えていない気がする。」

 

この2点をまとめると、指定字数の40字前後になります。

 

「~、それは、(Ⅱ:大人が自分の都合でする質問であり、回答者や子ども自身のことを考えていない)と感じられる」、前半が1ポイント、後半が1ポイント。

 

2つ揃っていて完答、片方だけなら部分点、おおざっぱに言うとそれぐらいの採点基準で考えておきましょう。

 

問6については、解答速報でも説明しました。

 

「ぽーっとなった」理由、「ぽーっとなりすぎた」理由を、生徒の会話文の空所に補充する問題です。

 

空欄Ⅲの直前に、「花井さんの凛々しい姿を見たことだけがぽーっとなった原因ではない」と説明されていますよね。

 

他の原因を探し出せばよいわけですが、波線部Aの直後に「この距離で同じ空間にいることが奇跡のように思えた」とあります。

 

憧れの、尊敬する宇宙飛行士と空間を共にしていること自体に興奮し、見惚れているわけですね。

 

Ⅲ:同じ空間にいることが奇跡のように感じられた」書き抜きで片が付きます。

 

空欄Ⅳについては、少し頭を使う必要があります。

 

「ぽーっとする」理由はⅢで書きました。

 

憧れの人と同じ空間にいたら「ぽーっとする」のです。

 

では、「ぽーっとしすぎた」ということは、同じ空間にいる以上のことが起こっているということですよね。

 

それを踏まえて本文を探していくと、「自分たちに向けられた言葉だと思ったら、全身が一瞬で熱くなった」「大人の女性の、しかもとても尊敬している人の視線がこちらに向けられているのを感じると、あまりに恐れ多くて」、このあたりの内容が見つかるでしょう。

 

同じ空間にいるだけでなく、「話しかけられちゃってる!」ってことですよね。

 

そりゃ舞い上がっちゃいますよ。

 

Ⅳ:尊敬する大人の女性の花井さんから視線を向けられたばかりか、自分たちに向けた言葉をもらった」、こちらも2ポイントを合体させれば指定字数くらいになりますね。

 

ただ、こちらはかなり広く解答は許容されそうです。

 

「同じ空間にいるだけでなく、自分たちに向けた言葉をもらったこと」、ここに「ぽーっとなりすぎた」のだと分かるように書かれていればOKだと思います。